お弁当アイキャッチ

冷めた時の美味しさを追求した、赤身とサシのバランス。料理人 藤山氏がこだわるお弁当づくり

2015.09.28

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メシてろの“料理人こだわり”インタビューでは、いつも美味しく食べているお弁当には、実は隠された制作秘話があった!?、料理人がなににこだわって、なにを思ってお弁当を作っているのか、お弁当を見るだけでは分からない裏話を伺っていきます。

第二回目となる今回は、お弁当デリの注文数ランキング第1位の人気のステーキ店『Butcher&Deli FUJIYAMA』

A4、A5ランクのお肉はもちろんのこと、お米や野菜の美味しさにも定評があるこのお店の料理人・藤山さんお弁当食材へこだわりのほか、お弁当作りに関するエピソードなどを伺ってきました。

冷たいお肉やゴハンでも、美味しいと感じてもらえるお弁当を

ーまずは、藤山さんの経歴からお伺いできますでしょうか?

藤山:高校の時に旅館でバイトしていて、その時に和食の美味しさや盛りつけなどに感動したことがきっかけで料理の世界に入ることを決めました。
高校卒業後は、大阪の専門学校に行きながら住み込みで1年間料理店で働き、その後は飲食店に勤務して、原宿への出店を機に21歳で上京しました。知り合いの六本木の飲食店で働いて、24歳で料理長になったんですが、そこからまたいろいろな幅広いジャンルの飲食店で経験を積み、今のお店をオープンさせて、今に至ります。

ーお弁当デリで提供することになった経緯について教えてください。

藤山:2010年に独立して原宿でハンバーグとステーキの店を始めました。そのお店のまわりには外資系のオフィスが多かったんですが、地震の影響で関東を離れる方が多く一時はお客さんが激減して、かなり売り上げが落ちました。

そこからお弁当だったり、とにかくなんでもやらなきゃと思ったんです。最初は安いお弁当も始めていたんですけど、知り合いの方に「2,000円とかする、ちゃんとした会議用のお弁当もマーケットとしてあるよ」と聞いて、やり始めたのがスタートで、もう5年くらいになりますね。

黒毛和牛カルビ 二段弁当
※9月28日現在、ランキング第一位の『黒毛和牛カルビ 二段弁当』!

ーお弁当デリの注文数ランキングでは『黒毛和牛カルビ 二段弁当』が1位です!おめでとうございます!ランキングについてはどのように考えていらっしゃいますか?

藤山:正直そこまでランキングは意識はしてないですね。というよりもリピーターさんなんですよね。「この方がまた注文してくれてる」っていう。その繰り返し積み重ねで、気がついたら今こうなってるっていう結果なだけで。なので、落ちても「くそ、2位になった」とか、ランキングを常にチェックするということはしないです(笑)

ーお弁当とレストランの違いについては、どう思いますか?

藤山:美味しい料理を箱に詰めてお出しするっていうのがお弁当だという考え方もあれば、我々はちょっと違う考え方をしているのかもしれません。お弁当は冷たいごはん、冷たいおかず、冷たいお肉、冷たい野菜が美味しいという状況じゃないとダメだと思ってるんですよ。

冷たいごはんってなんなのか、冷たいお肉ってなんなのか。それの「美味しい」ってなんなんだろうって。そこから始まってるんですよね。たとえば、できあがったものの見た目が一緒だったり、味が一緒だったりもするんですけど、スタートがちょっと違うんです。
温かい状態がベストで、一番美味しい状態で食べていただきたいんですが、一番悪い状態でも美味しいと思っていただけるものを作る、というのは難しいところだなと感じています。

ーお弁当だからこそ気を付けるところは?

藤山:衛生面は当然気を使っていますが、冷めても美味しいお弁当づくりということについては、日々研究していろいろ考えています。最初は「これが良い、これだったら出せる」と思って出していても、やっぱり日々作りながら感じたこと、その時の流行りや仕入れの状況・市場の流れは変わっていく。だからこそ、昔よりは確実に今の方が良くなっていて、自分たちの中ではバージョンアップしてるつもりでやっていますね。

あと僕が個人的に目指している駅弁があって「そこに早く近づきたい!」という思いがあります。
広島にある「うえの」というお店の、ごはんにあなごが乗っている「あなごめし」なんですが、11〜12年くらい前に初めて食べて「こんなに美味しいお弁当があるんだ!」って感動したんです。そんな美味しいお弁当を作りたいと思っています。

お弁当を開けた時から最後食べ終えるまでのストーリーを考える

藤山さんアイキャッチ

ー藤山さんのお弁当づくりにおける、こだわりを教えてください。

藤山:私は食べることが好きなんです。一口食べて「うまい!」って思ったら気がついた時にはもう全部なくなっていて、ずっと「うまい!」って思い続けて食べられるお弁当が理想です。

見た目も当然「美味しそう」というのから入っていって、自分の中でストーリー性を作っていって、最後までちゃんと完結できるものにするっていうのがこだわりです。普通、お弁当でドレッシングっていったら1種類しか入っていないと思いますが、うちは食べ飽きないように2種類付けています。次へ次へって箸が進むように。ステーキソースも、以前に比べて今の方が玉ねぎを多くしていて、よりフレッシュ感、玉ねぎっぽいソースにしようと思っていて、そういう風に美味しさにこだわりを持って日々改良しています。

ーメニュー考案時にイメージしているお客さん像というのはあるのでしょうか?

藤山:最初に、よくお弁当を召し上がっているのは病院の先生が多いというのを聞いていたので、実際はどういうものを欲しがっていて、喜ばれるのかなっていうのを考えましたね。話を聞いていると、意外と肉体労働でお腹が空いていて、ボリュームを欲しがっているということが分かりました。

それまでの2千円や3千円台のお弁当は、見た目がキレイで箱が大きくてどこから手をつけていいのか、というようなお弁当が多い気がしていました。肉や野菜がガッツリ入ってるっていうのもあっていいんじゃないかなと思って、うちはこれでいこうと決めました。

包丁
※藤山さんこだわりの『筋引包丁』。ブロック肉から筋を切り離したり、肉を薄くスライスする時に便利な包丁です。

ーステーキ店のお弁当だからこそ、お肉へのこだわりを教えてください。

藤山:A4、A5のお肉にこだわって仕入れています。冷めても美味しい状態っていうのは、今流行りの赤身も美味しいんですけど、A4やA5ランクのお肉で、ある程度サシが入ってないと、冷めたくなった時にやっぱり柔らかくないし、赤身が多いとパサつきを感じてしまう。かといって脂が多すぎるとちょっとくどかったりして。

そういうバランスを考えて、お肉をカットしたり焼いたりしています。

ーお弁当デリを使って提供することによる変化はありましたか?

藤山:我々にとっては楽になりましたね。配達やお金のフローのことを考えない分、原価や仕入れなどお弁当のことだけに集中できるし、作ることだけに専念できるので、とてもやりやすいです。

ー今までお弁当の注文を受けてきて、印象に残っているエピソードはありますか?

藤山:去年の秋くらいに、ある有名ブランドさんから『黒毛和牛カルビ 二段弁当』を110個注文が入った時はインパクトがあったし驚きましたね。

あとは、いつも配達してくれるドライバーの方からお弁当の注文を受けて、後日「すごく美味しかったです。ありがとうございます」とお礼を言われたんですが。話を聞くと、結婚記念日に奥さんと一緒に食べたというお話で。お弁当で良かったのかとも思ったんですけど、そういうタイミングでうちのお店のお弁当を選んでもらえたのはすごく嬉しかったですね。

ーステキなエピソードですね。

サイズがないから、手作りで自作したわっぱの弁当箱

お弁当箱

ーほかのお店にはない、『Butcher&Deli FUJIYAMA』だけのものってなんですか?

藤山:お弁当箱のわっぱですが、丸の形がかわいいし、二段に分かれてた方が良いと思って始めたんですが、最初はサイズの違うわっぱを両面テープでくっつけて、自作でお弁当箱も作っていたんです。100個くらいまではなんとか作れていたんですが、注文がどんどん増えていって追いつかなくなって、業者さんにお願いして、今のお弁当の型を作ってもらいました。

ー今後の展望を教えてください。

藤山:野菜が多くて肉やごはんが美味しくてというと、「結局あのお店は、なにが美味しいんだろう?」という風に思われる気がしていて。なので、先ほども挙げた広島の「うえの」の「あなごめし」くらい、究極にシンプルに『ごはんと肉だけ』というところまでいけたら良いなと思っています。

ーさいごにメッセージをお願いします。

藤山:普通のレストランだったら、いつも来てくれるお客様にサービスをしたり、いつもご飯を残すから少なめにしようとかできるんですけど、お弁当は食べている人の顔が見えない分、いつ頼んでも同じものを安定して出すっていうのが大事で、ずっと突き詰めてやんなきゃいけないところ。同じものを作り続けるっていうのは、簡単なようでなかなか大変。

なので、今は正直に真面目にお弁当を作り続けたいと思っています。

ー本日は楽しいお話を、ありがとうございました!

『Butcher&Deli FUJIYAMA』のお弁当を食べたい方はコチラからどうぞ!
Butcher&Deli

(取材・編集・執筆:サムライト

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