アイキャッチ

お弁当ひとつで味わえるフレンチフルコース。料理人 ヴィルヌーヴ東京白金台 竹腰氏に聞くこだわり

2015.09.08

アイキャッチ

生産者と消費者が交流できるファーマーズマーケットや、生産者の写真やコメントを掲示して食材を売るスーパーが多く見られるようになった昨今。

メシてろでも、お弁当を提供しているお店や料理人がどんなこだわりを持って作っているのか、普段なかなか聞くことができないお弁当作りの裏話を伺っていきたいと思います。

初回となる今回は、お弁当デリの中でもお弁当注文数ランキングで上位を誇る人気の洋食店『ヴィルヌーヴ東京白金台』へ。洗練されたフレンチ懐石弁当を提供してくれるフレンチレストランで、料理人として働く竹腰さんにお話を伺ってきました。

フレンチをお弁当で提供するという、新たな挑戦

竹腰さん
※顔出しはNG…という、少し恥ずかしがり屋!?の竹腰さんです。

ーお弁当のことを聞く前に、料理人を目指すことに決めた理由など竹腰さんのお話を教えていただけますでしょうか?

竹腰:19歳で料理の専門学校を卒業してからずっと料理一筋でやってきました。弁護士や画家になる道を考えたこともあるんですが、中学2年生の時にテレビで大きな鍋で料理をしている料理人を見て、かっこいいなと思ったことがきっかけで、料理の世界を目指すことを決めました。

その中でも、フランス料理を選んだのは、絵画などもフランスが好きでフランスの文化に興味があったからです。

ー今の『ヴィルヌーヴ東京白金台』で働くことになった経緯を教えてください。

竹腰:4年くらい前に今のオーナーに出会って、「丁度なにか新しいことがやりたいんです」という話をした時に、オーナーも「今までのフレンチのお店がやったことない面白いことをやってみようよ」と言ってくれたんです。

ほかと同じことをやっても駄目だし、今流行っているフレンチのお店があるわけでもないし、失敗してもダメになってもいいから新しいことをしようと思いました。

ーフレンチのお店でお弁当の提供を始めたのも、そのひとつの選択肢なのでしょうか?

竹腰:そうですね。誘われたことにはトライしてみようという気持ちがあって、最初はある会社さんからサンドイッチを作ってくれと頼まれて作っていたんです。でも、すごく注文数も少ないし、やってもやらなくても意味ないかなと思っていたんですが、そのタイミングでお弁当デリにお弁当の提供を始めてみたら、注文が増えていったんですよね。

野菜によって調理法も味付けも変えて一工夫

【デザート付】牛ステーキ弁当

ー「お弁当の彩りがきれい」ということで注文数が増えているようですが、どういう風にメニューや盛りつけなどを考えているのでしょうか?

竹腰:一番最初にお弁当を始めたのは3~4年くらい前のことなんですが、最初はどういう風にお弁当として出したら良いか全然分からなくて、すぐに壁にぶち当たりました。

食材を積み重ねて中に空洞、空気を入れて立体的に見せて大きく見せるのが、フランス料理をきれいに見せる技術。平べったく乗せてもあまりおいしく見えないんですよね。

でも、その感覚でお弁当を作っていると、お弁当の宅配先で、盛りつけが偏ってしまったり崩れちゃったりして。お客様からも「イメージしてたものと違う」「量も少ないし、もう使わない」とお叱りを受けたこともあります。そこから配達時の揺れやお客様のところに届けた時にどうなっているかを考えて、今のお弁当スタイルになりました。

自分がイメージした状態でお客様の元に届かない、というのが一番苦労したところです。

ー今のお弁当の形になるまでに、色々な苦労と試行錯誤があったのですね。今掲載されているお弁当は、野菜も多くて彩りもキレイで女性好みのお弁当が多いですよね。

竹腰:最初、お肉がメインのお弁当が売れていると聞いて、うちもフレンチのステーキをメインにして出そうと考えた時もあったんですが、ほかのお弁当と差別化ができないなと思って考え直しました。

以前、野菜をたくさん使って料理するお店に勤めていたことがあるんですが、そこはやっぱり女性にすごく人気があったので、僕は肉よりも野菜がメインになるようなお弁当でやっていこうと決めて考えたのが今のメニューです。

あとは、野菜はマスタードで和えたり、にんにくや黒こしょうを効かせたり、それぞれ野菜によって味付けを変えています。調理法も蒸したり、優しく火をいれて煮たりなど、飽きないように工夫しています。

前菜からメインディッシュまでのフレンチコースをお弁当で再現

お弁当箱

ー飽きないように工夫しているということですが、お弁当だからこそ気を付けているということはありますか?

竹腰:お店だと、その時の雰囲気や調理している音や香りも合わせて料理をお客様に提供でき、お店全体の雰囲気を味わってもらって、ひとつのお皿が完成します。

ですがお弁当は、食べている環境や雰囲気を僕らが見ることはできないし、調理中の香りや気の利いたサービスもすることもできない。ただただいつも同じものを提供しなくてはならない。それじゃあ、お弁当は何で勝負をしたら良いんだろう?と考えた時に、極論、味より見た目だと思いました。味だと作ってどれだけ経ったかで少なからず誤差が出てきてしまうので、その分、盛りつけの見た目や彩りに気を使うことにしたんです。

ー将来、画家になることを考えた時期もあったということでしたが、お弁当がキャンパスのようなイメージでしょうか?

竹腰:フランス料理も和食も見た目がすごくきれいですよね。同じ味付けでも色味が違うだけで美味しさにも違いを感じることもあると思います。

また、一般の人がイメージするフランス料理って、コース料理の格式ある感じが多いのかなと思うんです。なので、前菜からメインディッシュまでの流れを、お弁当の中で再現したいと思ったんですよね。

ーお弁当を食べてくれるお客様をイメージして作っていますか?

竹腰:そういうイメージは、全然考えていないです。
お店で提供する時は、お客様によって酸味を抑えたり年齢に合わせて変えたりできるけれど、お弁当はそれができません。オフィスで食べる人やナースやドクターのように病院で食べる人、撮影現場で食べる人もいるだろうし、食べる場所も状況も違うので。

味付けはどんな人にも合うように平均的にすることを心掛けていますが、お弁当を食べる場所がどんな場所であってもお弁当箱を開けた時に、「華やかで美味しそう!」と思ってもらいたいなという思いで作っています。

包丁
※竹腰さんのこだわりアイテムは、料理人の命『包丁』。どれもピカピカに磨かれています。

ーなるほど。お弁当づくりへの熱い思いとこだわりを感じます。お弁当づくりも考えること、大変なことがたくさんあるのですね。

当たり前に美味しく作るというのは、すごく難しいことです。例えば、鶏肉、豚肉、牛肉の火の入れ加減には注意しています。普通、お肉に火が入っていないというのはNGなことなので、少し強めに火を入れることが多いと思いますが、冷めて提供されるお弁当のお肉で火が通りすぎているのは、固くなるしあまり美味しくありません。

だからこそ、実際にレストランで提供できるくらいの火加減にしようと職場の仲間と話してオペレーション化させました。普通のお店では5分で火が通るけど10分入れるのは、火が通らないときのことを考えてのこと。でも、うちは5分は5分。火が通るか通らないかギリギリのところでやっています。時間も手間もかかるからこそ、ほかのお店はやらないかもしれませんが、そういうところにこだわってジューシーなお肉をメインディッシュとして提供できるようにしています。

ー最後に、普段顔を見ることができない、お客様へメッセージをお願いします。

竹腰:特別変わった料理、難しい料理を作っているわけでもないですが、どこでも食べられる料理だからこそ、当たり前のものを当たり前に美味しく作れることをいつも考えています。
当たり前のことを当たり前にするのが難しいからこそ、そこにこだわってやっていますので、ぜひ、一度食べていただけると嬉しいです。

ー本日は貴重なお話を、ありがとうございました。

ヴィルヌーヴ東京白金台のお弁当を食べたい方はコチラからどうぞ!
ヴィルヌーヴ東京白金台

(取材・編集・執筆:サムライト

このトピックスをみんなとシェアする
このエントリーをはてなブックマークに追加
広告バナー
広告バナー